歯周病のかかりやすさ
今回は「歯周病のかかりやすさ」についてお話します。
歯周病のかかりやすさは人によって違います。
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性の疾患で、歯を支える為の骨が溶けたり、それによって歯の周りの歯茎(歯肉)が退縮したりする病気です。
バイオフィルムとは歯の表面にある細菌の膜(細菌の塊)なのですが、 この膜が歯の表面に付着したままであれば、炎症がおこり歯周病が進行してしまいます。
このバランスを決めているのは、バイオフィルムの病原性( お口の中に定着した歯周病菌の種類と菌量)とお口の中の組織(遺伝と生活習慣)です。
歯磨きがうまくできていない場合でも、 お口の中の組織が強く歯周病が発症しない場合もあります…
また、歯磨きがどんなに綺麗でも、 お口の中の組織、免疫力が弱く歯周炎を起こすこともあります。
お口の中の組織の抵抗性を下げる要因として
・生まれつき弱い免疫力 ・口呼吸
・加齢 ・生活習慣(ストレス、喫煙、生活習慣病など)
・唾液量の低下
バイオフィルムの病原性を上げる要因
・悪玉歯周病細菌 ・歯ぐきからの出血
・磨き残した古いバイオフィルム ・タバコの化学物質
・口呼吸
★歯周病菌の種類と遺伝は変えられません…しかし、菌の量と生活習慣は変えることができます!
これらを改善すれば、 歯周病になりやすい人でも発症を予防できます。
■いろいろな種類の細菌
歯にくっつく細菌の塊をプラーク(バイオフィルム) といいますが、
このバイオフィルム細菌にはたくさんの種類があります。
菌は生まれた時からお口の中に住み始め、最初は母親、 次に他の家族や友人、パートナーと、どんどんバイオフィルムの細菌が定着し決まっていきます。
個人差はありますが、 30歳前後で菌は固定されると言われています。
菌の中でも、最も歯周病を悪化させている菌がP. g(ポルフィロモナス・ジンジバリス)菌と言われているものが住み着かないためにも、セルフケアと歯科医院でのクリーニングは大切です。
■歯ぐきからの出血
歯ぐきから出血した…という経験のある方は多いのではないでしょうか?
歯周病菌にとって欠かせない栄養素は、鉄分とタンパク質です。
血液はこの2つをたっぷり含んでいます。
歯ぐきにから出血があると、歯周病菌は栄養を得て、 暴れだします。。。
そのため、バイオフィルムの毒性が一気に増し、 歯周病の発症につながります。
■免疫力が低い人は高い人よりもかかりやすい
歯周病菌の攻撃から歯茎、骨(歯槽骨)を守ってくれているのは「体の免疫」 です。免疫力が低いと歯周病が進みます。
免疫力は生まれつき遺伝と年齢が影響しており、 加齢によって免疫力は低下します。
また、抗菌成分が含まれている唾液も、 加齢によって分泌量が減り、 口呼吸によって歯ぐきの抵抗力も低下します。
*免疫力を上げるために、 食事の工夫や生活習慣を変えることも大切ですが、 バイオフィルムの毒性を下げることで、 免疫力と病原性の均衡バランスを保つ方が現実的です。
■生活習慣も大切です‼
飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足、運動不足…
現代人は免疫力が低下しやすい環境にです。 これらの生活習慣は免疫力を弱め、毒性との均衡バランスを崩壊させます。体に良い生活は、 歯ぐきにも良い影響を与えるので、栄養、運動、睡眠、ストレスを注意しましょう。そして、 たばこは百害あって一利なしです…
禁煙することで歯周病の進行抑制がされるとともに、 治療の効果が出ます。
歯周病発症・再発リスクが、 非喫煙者と同レベルになるには禁煙後10年程必要です…
■対策について
実は、お口の中の健康を保つには、自分自身で行わなければいけないのです。
毎日のセルフケアが何よりも大切です。歯科医院には毎日通えないですよね。
歯科院で受ける定期的なプロケアはもちろん大切なのですが、 サポートでしかないのです。
毎日のセルフケアでバイオフィルムを取り除き、 歯周病菌の量を減らしていきましょう。
歯周病菌の量が少なければ、悪さもできません。歯ブラシだけではなく、フロスや歯間ブラシなどの清掃補助器具も必須です!
ぜひ、 習慣として取り入れるためにまずは歯医者さんで正しい歯磨き指導 を学びましょう!
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